ハードボイルド・スタンリー「横浜」/花形新次
おまえのアソコは
臭うものだと
思っていた
おまえには一言も言っていない
黙って愛撫してやる
それが男の優しさだ
第一、俺はおまえの
アソコの臭いに
惚れたわけじゃない
形に惚れたのだ
カーテンの隙間から
朝の港の見える丘公園を見下ろす
いつの間にか
おまえも起きていた
おまえは寝起きの
気だるい表情を
半分ベッドに押し込めたまま
突然言った
「あんた、口臭ケアした方がいいわよ」
臭かったのは
俺の唾だった
(ハードボイルド・スタンリー詩集「サンディエゴ」より)
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