3ジグソーみそ汁/吉岡ペペロ
 
会社を辞めたのは転勤の話が出たからだった。

もともと地元採用だったのだがぼくの仕事ぶりが無残で本社で無期限の研修を言い渡されたのだった。

たしかに会社には迷惑をかけていた。

でも妻と話し合うまでもなくぼくはそれを断った。

断るということは辞めるということだった。

海を見ていた。

まえの仕事のときもお昼よくここに来て海を見ていた。

海にぼくは祖父ちゃんを感じていた。

祖父ちゃんは海で死んだ。

昼間釣りをしていて海に落ちたのだった。

海に話しかけたりはしなかった。

祖父ちゃんをぼうっと感じていた。

つめたい弁当に午前のぬくもりを感
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