驚異の骨密度/草野大悟
りを指さして得意気な顔をしている。
か弱い手すりは、もうボロボロで、
すいません、すいません
ワシ か弱くてすいません
と、平身低頭している。
側に立っているおれに
< ところで、今日なんかようのあると?
と、すました顔で聞くから
< ぐっ
と、詰まっていると
一緒に横に立っていた大正十四年に
< 今度家建てるときは、手すりは
もっと頑丈に造るように
大工さんに言わんと
いかんね
と、注文を付けている。
注文を受けた大正十四年と
なんでここに立っているのか理解されていないおれは
それぞれに
意味不明の笑顔を浮かべ
ふたり並んで呆然と立っている。
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