驚異の骨密度/草野大悟
 
昭和元年が
自宅の階段から
滑り落ちて
踊り場の手すりに激突
品よくあつらえられた手すりを粉砕した。

七人兄妹の末っ子である昭和元年は
戦時中もすくすくと
ちりめんじゃこを食べ続けて
今でも強靱な骨密度を誇っており
手すりと激突した
頭部及び右肩部に
損傷は全くなかった。

知らせを聞いたおれが
すっ飛んで行くと

 < 最近の家は、品ばかり良くて
   か弱わかあ。
  
と、20年以上も前に建てた家に
いちゃもんをつけ、

 < この手すり、ほら、
   目だたんように修理したけん。

と、肌色のリバテープでぐるぐる巻きにされた
手すりを
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