詩における実在論と観念論/葉leaf
 



 実在論とは、世界に物質などが実際に存在し、それに触発されて意識などが生じるとする考え方である。観念論とは、存在するものは意識に与えられたもののみとして、それを超えた実在を要求しない。
 詩においても、この実在論と観念論の対立のようなものを目にすることがよくある。詩における実在論は、実体験を大事にする。言葉以前に体験があり、歴史があり、美術作品があり、それら実在するものを起点に、そこから触発される心情を偽りなく書いていくのである。生活に根差した作品、事実に根差した作品が生み出され、利点としては、事物の文法に沿った記述がなされるために、堅実で破綻がなく地に足のついた表現が期待できる。
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