ソックスと田んぼと菜の花と/石田とわ
ガタコトゆくのは2両電車
田舎のしがない私鉄です
その座席に座るわたしは
上下左右にからだすべてが
揺れるのです
重いドアを両手であけて
乗りこむ少女たち
古びた車内に満ち満ちる
さえずりのようなおしゃべりと
並んだまっ白なソックスが
春と呼ぶにはまだ早い
繊細すぎる陽ざしを
呼びこむのです
あぁ、ガタコトとガタコトと
どこまでもゆくのです
まっ白なソックスが眩しすぎ
田んぼばかりを
眺めています
菜の花も、
もうすぐ咲くでしょう
終着駅はどこですか
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