森の詩/竹森
な
(鳥が 青空の向こうへ ほら
(小さく 小さく 消えていった よ
太陽が 白い光線を放つ 迷いのなさで
小麦色の腕は 汗ばんだ首すじへと 絡みつけられる
(自然が じいっと 見つめているけれど
(僕らは 僕らの肉欲を 恥ずかしいとは思わない
(僕らは果実の狩り入れ時を 間違わない
この森で一番の広間に辿り着くには
玄関のドアを開けた瞬間の 爪先の向きを
一度も変えずに 歩き続けること
(見慣れた蟻の巣は やはり またいでいくこと
(ささやかな藪ならば 今後の為にも 踏み越えていくこと
その広間の中央には石壇があり
正午になるとちょうどその真上に太陽が照る
そして その時のこの広間が
きっと この森一番の日なた
(宝石を二人で 土の中に埋めた
(芽が出ると信じて疑わなかった 緑色のビー玉
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