「鬼」。。。/為平 澪
 
れてる。
(お母さんが 泣いて 臥せってる。
(オニハ、ウチ、 オニハ、ウチ、、

歩く。歩く。。
交番に駆け込んで 「お巡りさん」、と、小声で呼んだ。
お巡りさんは パトロール。
締め切った家々の 巻いた豆の数をかぞえるために。
(節分には冬と春の隙間から 鬼がでるからね、、

歩く、すぐ前を 広報板に張り付いた 指名手配の鬼の首 無言。
ふるさとには、鬼がでるよ、
止まらない句読点のような接続詞、スマホからは、 声、声、声、

(怖いから田んぼに埋めてしまえ。
(こんなものを持っているから 私は便利に生きてしまう。
(コンナ、ベンリ、ナ、オマモリ、ヲ、

スマホのお墓に 御線香をたてて 水をまいて声がなくなると
私の両肩にのしかかる 不安。

(家には巻き寿司を待つ家族、
(豆を持って帰れば、それで私は、退治されてしまう。

背中の荷物が カタカタ 鳴る。
私が背負っているのは 何、
私が持っているのは、
私は 何、、。

(オニハ、ウチ、オニハ、ウチ、、オニハ、、、、
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