対酌の前に言いたいことがあるのだが/鵜戸口利明
 
この世界にいつ暁がおとずれるだろう
ピースを燻らしながら夢をみていた
哀れな人々の一見無表情な足音
酔いどれにたいする侮蔑の眼差し
失語症にして姑息な虚栄のつぶやき
忌々しい死に物狂いの奴隷根性
ぼくは酒の呑みすぎで吐き気がしていた
人々もこの世界もクルクル回っていた
今からおもえば泥酔者の眼差しは
どこの誰より正直で正しかったのだ

反吐を吐きかけてやろうかそれとも
たばこの煙を吐きかけて君たちの
性根を叩き直しいっそ一掃してやろうか
なぜ君たちは表情をひた隠しに隠すのか
ぼくには君たちと酌み交わす盃を
持っていやしない 君たちはなぜ
フリチンになる気力さえない
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