見学者/nonya
 
のプロパガ
ンダ ならされ
ていく目と耳と
心 知り過ぎる
ことは未来では
ない 溶けかけ
たイカロスの翼


スクランブル交差点を渡りながら
次から次へと窓を開いては
次から次へと慣れてしまう

プラットホームから落ちそうになりながら
次から次へと窓を開いては
次から次へと忘れてしまう

どうしても倒せないラスボスの背後から
突然の不運に襲われて
悲しみに足をすくわれて

僅か5.5インチの
世界の窓の向こう側に行ってしまうまでは

僕は
少しだけ憂鬱で少しだけ退屈な
見学者



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