夜更けの紙相撲・如月のきんぴら/そらの珊瑚
 
 ささがきに思い出すのは小刀で鉛筆削った美術室/午後

ごぼうのささがきは、どこか鉛筆の芯を削ることに似ている。
違っているのは、ごぼうに求めるものは皮と実の部分であって、鉛筆に求めるものが芯の部分であるかの違いだろうか。
おそらく鉛筆を使い始めた幼児の頃から、鉛筆削りなる便利なものがあったので、高校生の頃に、美術の授業で小刀を使ってそれを削るのは、初めての体験だったと思う。
力を入れすぎれば、鉛筆の断面は無残にえぐれる。
力を抜きすぎれば、それは肝心の芯のところまで到達出来ない。
力加減というものは、実に難しい。
鉛筆の六角形にそくした二等辺三角形を切り出し、その先に長過ぎもせず
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