『風立ちぬ』をめぐって/動坂昇
きのう宮崎駿『風立ちぬ』を見た。二度目。感想をメモ。
純真素朴な天才がいかに戦争に利用されていくか。その様子が描写された映画。
二郎は才能と純真さによって呪われた人間だ。
二郎はものをつくることにかけては天才的だが、それ以外のことができない。自分を買ってくれるひとびとにその非常に専門的な才能を切り売りして生きるしかない。
特高に追われて危険にさらされかかっているときもそうだった。このとき社長は二郎に「きみが会社に大きな利益をもたらすうちは、会社はきみを全力で守る」といった。これは非常にシンプルな論理だ。人権は関係ない、まず利益だというわけだ。だから彼は生き延びるために
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)