回想10年/葉leaf
私は文学教育を受けたことがない。大学では自然科学と哲学をおさめ、その後大学院では法律学をおさめた。文学は、そういった主な勉強の余技としてなされたにすぎず、だから私はゆっくりと小説を読んでいた幸福な時間というのがほとんどない。日々忙しく過ごす中、詩は読みやすかった。短い時間で読み切れる詩というジャンルは、私の生活にあっていた。
それだけでなく、若い頃の私は、マクロな視点が欠けていた。細部の美しい表現や見事な思想に文学の存在意義を見出し、物語や世界観など、大局的な視点から文学作品を読む能力に欠けていた。そういう偏った性向もまた、私を詩に向かわせた。私が詩を本格的に書きはじめ、現代詩手
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