渡り鳥/ただのみきや
をぶら下げるナナカマドの国
毎年この季節にはツグミたちが大挙して食べに来る
シベリア行きの旅の前に栄養を蓄えるのだろう
気のせいか例年よりもみんな肥えているように見える
中には酔っている奴もいるようで
すぐ側でくちばしを開けたまま ぼーっとしている
すっかり逃げ遅れているのだが
それでも通り過ぎるときゆっくりと並木へ飛び上がり
何が可笑しいのか ”ケケケケケ“ と笑うのだ
去年の秋の気候のせいで
ナナカマドの実が発酵したのだろうか
この季節はヒヨドリたちでさえおとなしく見えてくる
かわいい姿だが地元の鳥たちには
港街で酔って騒いでいるロシア船員ってところだろう
ほらまた ”ケケケケケ“って 何が可笑しいのやら
気にならないと言えば嘘になるから
背伸びして 萎びたナナカマドをもぎ取って
ちょっと 舐めてみる
《渡り鳥:2015年2月18日》
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