世界地図を見るまなこと、なにかしら○いもの/春水八郎
 
は轟音をたてはじめ、
離陸態勢に入る
高音が鳴り響き、
滑走のスピードはどんどん速くなる
ふいに空へ持ち上げられる感覚が
足の底から湧き上がり、
銀色の機体は針のように斜め上空を指す
みるみる離れていく町、
窓のフィルタは青みがかって、
建物の輪郭をモザイク画から
油絵模様にぼかし
やがて突き抜けた雲海の、
白銀の光を青く染め上げる
「Coffe? or Tea?」と問いかけるスカーフ
あの綺麗な、紅茶色のまなこを
ひとつずつ思い浮かべ、
渡されたカップの中で揺れて
窓からの光に澄んだ、そのみずみずしさをただ見る



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