世界地図を見るまなこと、なにかしら○いもの/春水八郎
聞いている
まなこは閉じられ、
体温が肌二枚を隔ててそこにある
つぎに開かれる時は、
窓の外の駐車場の向こうから、
かすかな蝉の声が聞こえた時だった、
僕は、先日すでに鳴いていて
今年二回目の蝉の声だと言い張ったんだけど、
それは気のせいです、
とほほえんで
カーテンを開けた
池の中に光が差し込んで、
台所の僕の足下まで
白い光の柱が伸びた
柔らかな逆光の中にいるあなた
いま、ここからはまぶしくて、
見つけることはできないけど
そこに確かにある開かれたまなこ
まぶしさに僕は目を閉じ
太陽のせいでまぶたの裏には
あなたの輪郭と、
さがしていた○のかたちが見える
それを、やわらく指でなぞりながら
夏を見るため、僕は目を開き
あなたがいる、
窓の方へと、
歩き出した ↓
↓
↓
↓
「夏になったら、かき氷が食べたいです○」
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