世界地図を見るまなこと、なにかしら○いもの/春水八郎
陶酔します」
「○を、さがしはじめてから」
「音楽が違って聞こえます」
「それは声を聞こうと」
「耳を澄ましているからです」
「そして」
「それで」
「それが」
「だから」
「恋なんだと」
「言ってみます」
「○」
僕は音の洪水の中で
ただそのかぎかっこの中身をやみくもに頭に書き付けている
たとえば、そこにどんな打算があったとして
それは昼下がりに犬がする、ちいさなあくびのようにささいだ
喩えきれていない、この気持ちを
夜にどう露わにすればいいのか
瞳を閉じた触覚と音の世界では
当然誰もそれに答えることはない
閉じ
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