世界地図を見るまなこと、なにかしら○いもの/春水八郎
 
床へ次々と落とし
でかいチリ取りの口の中へ
どんどんとほうりこんでいく
それを片目で見ながら
とろけるところの無い
赤身のステーキにナイフを入れてみる
がしゃん、
チリ取りを持ち上げて
その口を閉じる音が重なる
肉はゆるやかにたわみながら
ナイフを少しづつ受け入れて
切り口からはレアな血が染み出して
白い皿の上を赤い湖に変える

かしげた
フォークの四つ又の先端のうち
一本だけ
血を吸い上げる表面張力は
赤いナトロン湖に立つフラミンゴの
か細い足首にさえ起きている
その桃色の羽は
みずうみの色だという
水をくちば
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