世界地図を見るまなこと、なにかしら○いもの/春水八郎
 
、片っぽだけ脱ぎ捨てられた
長ぐつに向かって
声をかけ続けている
○のありかをつげる便りは
数時間遅れで
届くのだという
ちなみに、イーストリバーを越えて
クイーンズも越えて
ロングビーチまで行くと、
北大西洋の端から端へ
波は渉り、鳥も渡る
緯度は長靴とほとんど同じくらい
おそらく航空機は鉄の楔のように
空にいくつもの青をつぎつぎと縫い止めては
つぎつぎとほつれさせてゆくのだろう、
そのせいで思考は空想に取って代わられる
 →(窓の外のアラスカには
 割れてまばらに拡散してゆく流氷が
 僕のスケールの尺度をこわして
 僕
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