カンガルーのポケット/オダカズヒコ
 

黒猫はカンガルーの胸に寄り添いその光景を見て。赤い唇を尖らし、「酷いわね」って言った。

砂浜に頭からのめりこんだパンダはぐったりとしている。カンガルーは、
黒猫のマリーの肩を抱きすくめ、耳元で囁いた。「寒くないかい?」

マリーは羽織っていたカーディガンをグッと深く肩に引き寄せた、そして。
「ええ、少し風が強いだけよ」って、そう言った。カンガルーの横顔を見上げながら、
・・・少し、風が強いだけなのよ、って。

黒猫のマリーは、カンガルーの胸に頬を深く預けて、そう言った。
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