記憶の雪だるま/宮木理人
 
ている真冬のワンルームだ。すきま風が入ってギンギンに寒いよ。

現在の感覚が、記憶を雪だるまにしてできた総体だとしたら、一番大事なものほど、ずっと奥のほうにあるじゃないか。
これは大変な事実だ!
凍てつく猛吹雪のなかで、ぼくらは雪かき作業を辞めてはならない。

小さな村の防空壕で、今日も誰かが芋スープをこしらえている。それはきっと虚しさと優しさが入り混じった複雑な味だろう。そんなスープをつくる人が流すべき汗を、どういうわけかぼくがいま変わりに、部屋で流している。
夜になって部屋はどんどん寒くなり、その汗はぼくの見えない角度で奇麗な結晶に変わりダンスする。
その様子を撮影した映像をy
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