起きたとき/葉leaf
 
零点の美を台無しにする。

起きた時哲学を感じる。まだ覚めやらない意識が既に身体と不可分になっており、思考がのろのろ体を動かすときすでに哲学は最も曖昧で不確かな部分を感知している。起きた時のいまだ明晰でない思考によってのみとらえられる認識の萌芽は、萌芽のままそこで死んでいけばいい。起きたときの曖昧で完結しない哲学、消えていく哲学は、真理そのものを火のように照らしてただちに消えるがよい。

起きた時光を感じる。ところで光とはなんだろうか。彼岸と此岸とがきしみ合うときに発される意志のようなもの、それが光だろうか。曜日と曜日とがけだるい交替のあいさつを交わすときに発される親しさのようなもの、それが光だろうか。わたくしだけの世界にわたくし以外の者が訪れるときの足音のようなもの、それが光だろうか。全ての物語を引き連れて、光は指先に灯る。

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