夕鶴奇譚/ただのみきや
 
 *与ひょう(仮)

あなたのいのちの陰影を
はきだめから拾い集めた
文字(もんじ)の墨と二枚の舌で
なぞりたいのです

顏の砕けたおつうさん
どうか一編の愚行と
淡雪のような嘘を
あなたの羽と一緒に織って

吊るしてくださいな
吟の縦糸と禁の横意図で編み込まれた
昔語りの愚直な愛の四面楚歌で
わたしは醜い蝦蟇なのです

アブラカタブラ煙と化して
言葉の架空の重さを消し去りたい
真実は書き記されてまことを失ない
香りも味もしない実(じつ)の模型となり果てました

求められているものは今風に外包みを変えただけの
地図や預言や経典なのです あ
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