残暑/たちばな まこと
目立たぬようにまとわりついてきたあなたたち
こんばんは
眠れないので話そうか
寝返りを打つたびに首の汗を拭う
空腹
泳ぎくたびれた金魚
月の無い窓際
控えめな秋の羽
消えゆく蝉の震え
小指のような気配
もうひとときだけひとつでいたい
幼い寝息
振り向きながら彼女の裾が揺れて
入道雲を透かし見る
緑の合奏
日付が変わるころ
思い浮かべながら肌を撫で合う
終わり、をかみ殺す
漏れないように口を塞ぐ
繰り返されるいとなみ
泣きつかれた夢に高揚をあたえて
何度でも
選択の連続
くるしいよ
不意に斬りつけられても
生きることを握りしめていたくて
空白を残らず塗りつぶすことでしか
安らげない
きいてくれるのかい
あなたたちは降りしきる
あなたたちを描く
泣いたからだが乾いても
昨日が去らずに遊んでいる
2014.8.13
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