そいつのまえでは おんなのこ/るるりら
るるるるるるると反響する。しだいに低音になって頭の中で響く。女とも男とも言えぬ声だ。隣に腰かけていた その子は いきなり立ち上がり わたしの手をとり 列車の方へ駈け出してゆくやいなや列車が到着したようだ。友達夫婦が わたしのほうを見て おいでおいでと手を大きく振っている。だけど友達の声は聞こえない。るるるるるるるるるるるるるるるるるる
いきなり女の子は まだ止まってもない扉も開いていない列車に 駆けだすやいなや飛び乗った。ドンと強い 列車の風圧のようなものに わたしは跳ねつけられた。そのあと たぶん私は転んだようだ。一瞬 気を失った。友達に揺り起こされた。わたしの腕には 強く握られた指の後
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)