Miz 5/深水遊脚
クスワーカーだった。そのことでも私は澄花さんに聞いてみたいことがたくさんあった。薫子は私とセックスしたかったのかもしれないと考えていた。中学生だから大胆に行動に出せずに、ほとんどを自分の心に仕舞い込んだ。でもTシャツと短パンでいるとき、私の体がどれだけ柔らかいか、私をうまくおだてて柔軟体操をいろいろやるように仕向けたりしていた。上手に誉めてくれたので私も調子にのっていろいろやった。膝枕をねだったり、逆に膝を貸してくれたりしたこともあった。そんなことは少しも不快ではなかった。でも全てをぶちまけられたら受け入れる覚悟はない。そのことを私よりも薫子のほうがよく知っていた。どこまでを受け入れるかはともかく、そんな部分も含めて薫子なのだ。今ならそう考える。友情、好意、愛欲、私と薫子との間では切り離す必要のないそれらを、ふつうの人たちは切り裂いていた。ときには敵意をむき出しにして。そして、私はそのふつうを盾にして、薫子の気持ちのとても重要な部分を、拒絶した。線を引いたのは私の意思ではなかった。それに気付いたとき、薫子はもういなかった。
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