朝の夢よ、さようなら/鵜戸口利明
 
「さて、今日は何をしようか」
朝起きるとひとまず煙草を吸って考える
吸いきらないうちに人間を卒業して
ロボットにでもなれたらいいのに
たったと行動計画をたてて
それがいかに杓子定規であっても
難なくとにかく走りたい

だがぼくはロボットにはならなかった
周りのロボットたちをみながら
寧ろぼくはロボットにならないよう努めた
いやぼくの中のロボットをみて
煙草を吸っていたのである

ぼくの中で計画はできあがり
一瞬人間を卒業する夢をみるが
そんなのは所詮夢であり
殆どの夢はわすれてゆく

吸い終えるともう一本煙草を手に取る
するともはや人間を卒業する夢などみず
人間として自分は天才的かも知れない
という夢をみる
夢みているうちに
煙草とともに夢など消えていき
さらにもう一本手に取ると
すでに夢などわすれていた

我に帰ると
灰皿に吸い殻が溜まっている
時間が過ぎている
煙草が段々短くなっていく

不安になってきた
煙草を手に取るが
やっぱり箱に戻し
冷蔵庫から缶ビールを取りだし
あけた
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