絆創膏/北井戸 あや子
 
絆創膏は彼女に優しい

いつだって

なにも言わないで
傷を覆う
傷が治っても
彼女が落ち着くまで待っている

いつまでも

僕はそれが拒絶に思えて仕方ない
絆創膏で塞がれた傷
なにも見えない
僕の傷をただ見てるだけ

絆創膏を貼るのが僕だったら
こんなことで悩まなくて済んだのか

絆創膏を貼る彼女を見ているだけの
この変わりようもない両目を塞いでくれ
ああ、今までの傷は無かった事にして
その上から塞いでくれ
戻る   Point(1)