一日/
鵜戸口利明
陽はすでに昇っていても
暁はこなかった
鶏は鳴かないし
朝の静けさもなく
人びとの足音がするのみ
ぼくは酒が抜けず
来るはずのない暁を待っていた
暗い陽の下で
影踏みをして遊んでいる
陽の下に光はない
人びとの現実は色褪せていた
坦々と生きながら
人の不幸に想像力を費やし
平和もなければ不幸もなかった
ようやく酒が抜けたころ
待ちこがれていたのに
夜のとばりが到来した
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