神の名前/atsuchan69
火の年に、
大水の声を描く
詩人は、
自ら指を燃やして、
轟く稲妻にも似た
その声を、
陽に焼けて古びた愛と、
数々の秘密と背徳を埋めた土に
透明な色のインクを滴らせ、
尖った刃のような大人しくない言葉で
斃れた灰色の建物の壁に
地響きのような大水の声を描く
やがて神々しい声とともに
もくもくと立ちのぼる
白く巨大な原子雲の見下ろす、
かつては美しい街だったこの世の地獄
人々の営みはもうなかった
それは、
インディアンたちにしたように
容赦なくベトナムで行ったように
イラクで大勢の人たちを殺したように
広島と長崎で女や子
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)