観測者の逸脱/ただのみきや
 
真昼のまま凍りついた
ひとつの情念
名づけようもない一編の詩を装い

光明な思想が引きずる裳裾の陰鬱
石仏のように摩耗して正体もなく

言葉は羽 風に舞い
人は水 流れ集まる低く低く色を濁し

切り口が噛み合わない
肉体を繋ぎ合わせようとして
紛れ込んだ脚
紛失した腕
誰が誰をそうして誰か
解らないまま解った夢を見て眼裏が湧いて

雄弁で躍動的
お喋りで忙しない肉体を
うすい被膜の時間のずれで覆った
あなたが記憶を出入りする
二月の青すぎる空 剃刀の鞭

常春の庭 ぬるむみずに
還らざるモノの卵が孵るオト
喰らうモノが一斉に押し寄せるオト
擬音語
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