いまのところは/ホロウ・シカエルボク
るか自分で飛び込んできたりなんかしたら―困るのだ、助けて欲しいという気持ちすらなくなってしまったから、わたしは死ぬのだから…こんなことなら、窓が映るようなアングルにしなければよかった、と彼女は後悔した、少しくらいロマンチックに見えるような、そんな考えがアダとならなければいいのだけれど―最後の最後、本当にお終いの馬鹿な女の馬鹿な後悔―自嘲的に笑って、天井から吊るしたロープを確かめる、大丈夫―値段の割りに頑丈に出来ているのが気に入って借りた部屋だもの、これだけは失敗するわけがない―大成功、決まってる―カメラに手を振り、運命の円環に首を突っ込んで、椅子を―そのとき、階下が騒がしくなっていることに気づく、
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