いまのところは/ホロウ・シカエルボク
く、どうしたんだろう―?たくさんの足音がする、階段を駆け上がってくる―誰かが自分のしていることを警察に通報したのだろうか?いや、それはない、早過ぎる―配信はさっき始めたばかりなんだもの―足音はバラバラに分かれて、部屋という部屋のドアを叩いている―彼女の居るその部屋もだ―「誰か居ますか?」「火事です、避難してください」「火が燃え移りました、避難が必要です」―ああ!どうしてこんなときに…!こんなときまで…!彼女は思わず涙をこぼしそうになる、だが、こらえる―笑って死ぬって決めたんだから―ノックの音は激しくなる、居ないと思ってくれないだろうか?灯りがついているから難しいかもしれない―返事をしないで居たら行
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