僕しか知らない事件/とよよん
今朝8時8分にトーストを咥え「遅刻、遅刻!」(ふぃふぉふ、ふぃふぉふ)と口にしながらコートを大袈裟に翻して出掛けたのですよ、ばさっと大きな翼のように。いつもと違って。玄関でいってらっしゃいと見送ってからは、いつもと全く同じでした。窓の外にはいつものおじいさんのいつもの犬の散歩、いつもの時間に通過するいつものバス、まるで同じ。いつもの。今日もまるで同じ今日でした。ただ、窓の下から見上げる◯子の首が、真後ろまでぐりっと回転したように見えましたが、
Section1、隣席の男子生徒
《先生》◯子さんはお休みですか。遅刻ですかね。誰か何か知りませんか。昨日は来てたよな?□男君、
《□男》
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