戻り橋/藤原絵理子
守り子の唄は 灰色の雨に滲む
擦り切れた赤い帯の 風車が回った
竹田じゃ雪に変わって トタン屋根が
静かになる しんしんと寒さだけになる
姉さまは 池に身を投げた
三条のぼんぼんは 河原の柳で首吊った
赤い帯は 水に滲んで沈んだ
芽吹いたばかりの柳は しなやかに揺れた
寺のぼんさん 守り子を追い出して
夕のお勤めをする 檀家さんのためだけに
極楽へ行くのも 地獄へ行くのも お布施しだい
死んだ姉さまは 吉祥から川を上って
橋のたもとで ぼんぼんを待っている
鬼の顔の下に 悲しい恋と涙を隠して
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