記憶/
nonya
唇の記憶
眠れない夜の
座礁した意識に絡みついてくる
決してこそぎ落とせない罪の藻屑
最後に恐る恐る触った母の頬
申し訳ないほど柔らかい
指の記憶
暮らしの九十九折に散らばった
色とりどりの記憶を
きれいに並べ替えたら
隙間だらけの私の人生になるのだろう
長い間暗がりだった
記憶と記憶の得体のしれない隙間を
今はあなたの
飾らない笑顔が照らしてくれている
*「のめしこき」は新潟の方言で「怠け者」
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