窓辺/
あおい満月
***
(今夜は此しかないよ)
奮発して買ったという
丸々太った九十九里の鰯のまる干し
頭からかじりながら
さくさくした目玉が
抜け殻みたいだ。
表札が、
強風で飛んでいったあとの
我が家のリビング
夜が明けて、
朝焼けが照らすのは 昨日食べた鰯の
母親が食べ残した半身
虫に喰われる前に
ビニール袋に入れて
かたづけてしまおう
誰かがいて、
誰もいない
部屋の窓辺で。
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