水と手のひら/
木立 悟
手のひらの荒地に
雨は刺さる
しるしのなかに落ちる雪
埋もれかけた葉が夜を見つめる
熱を持つものほど深く沈む
涙を浮かべ またたく夜
皆あの暗がりからやって来て
ひとりきりになり 戻りゆく
賽の目をしたたる滴から
無数の虹が聞こえ来る
動くはずのないものが動いたので
手のひらは思わず手のひらを離した
淡いいかずちの幼生が
雨を雨に昇りながら
空の底を震わせていた
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