水と手のひら/木立 悟
 





光の結び目に降る雪は
まだ永い夢を食べている
砂が敷きつめられた部屋を
風がひとり歩いてゆく


黒に黒を足して樹々になり
額の端のついばみを数える
銀から蒼へ至る途中の
ありとあらゆる落雷の痕


ひとつひとつかがやいてゆき
巨きな音とともに断ち切られる
余韻のない 縦の静けさ
色だけがただ変わりつづける


     手のひらの川に
      空は降りる
       目を閉じ
        かたちを追う


        まぶしく かすみ
       とどまる
      いつのまにか
     景は進む
 
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