夜は切ない/夏川ゆう
 
散歩で夜の砂浜に行く
夜の海に誘われるがまま

あなたは足が早くて
私との距離が少し広がる
だから手を繋ぐ

ひんやりした海風
夏が終わりかけている
何故か互いに言葉数が少ない

昼間の賑わいを心の目で見ている

「夜は切ない」
とあなたが言う
「そうだね」
と言いあなたを見つめる

昨日の夢の続きを話す
途切れそうな夢

押し寄せる波が優しい

暗くても心の中がよく見える
暗いからこそ見えるのかもしれない
夜の砂浜が心を綺麗にする
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