やまぶどう/竜門勇気
 

誇らしげに爪を見ていたのに

浅い川の源流に沢蟹の寝床をいくつも見つける
僕の体はなんて不完全でこぎたねえんだ
もう僕の痛いところは治らない
壊れたところは替えがない

ようやく解放されて部屋から出る
もう一度不摂生を挙げられて
こてんぱんにやられる
早く薬をくれ でなきゃ死刑台に送ってくれ

できれば
山で死にたい
誰も僕を覚えていないくらい遠いところで
誰も僕を見つけることのない深いところで
そうだ
でもそうもいかねえんだろ?
だから
生きてる時は邪魔しないでくれ
言いたいことだけ言わせてくれ
その上でさ
死んだ時だけ悼んでくれ
無理なら
ずっと無関心でいてくれ
いないものとして
此処に居さしてくれ
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