wanted/青井
 


それはとても欲しいものだった
いつもキラキラ輝いて見えた
見るだけでぼくは幸せになれた
それはとても欲しいものだった
なんども目を凝らしてまばたいて
なんども手を伸ばしては
届かずに引っ込めた
ぼくが持っていないもの
ぼくが手に入れられないもの
だから欲しくなった
欲しくなることで
ますます好きになった
追いかければ追いかけるほど
遠ざかっていく気がした
いつも遠くにあるその姿が
とても好きだった
触れてみたかった
抱きすくめてみたかった
いくら目をきつく閉じても
まぶたの裏できつく光る
それはぼくが
とても欲しいものだった
でもきっと
他のだれかにとっては
いらないものなのだろう

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