やかんと夜と/
石田とわ
すべてが寝静まり
寝返りと寝言の中で
やかんを磨く
あしたはどんな一日に
なるだろう
油で汚れ焼けた色が
少しずつ鈍い光を放つ
使いこまれいつの頃からか
ふたが少し曲がっていた
どこにでもありそうで
我が家だけのやかん
星たちも瞬かないこの時間
鈍い光に顔をうつし
一日の締めくくりに
百面相を、する
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