えいえんタウン/竹森
 
二つの影は風となり、二人を囲んで舞い踊り、
肌の匂いや、軽やかなステップで
踏み拉かれた花々から立ち昇る香りと混ざり合って、僕は、
虹が崩れる音を、初めて聞きました。

生い茂る木々は一様に若く、
鏡の存在しない世界に、生の長さは
鍵の掛かった宝石箱の中にしまわれて、
いまだ僕らに美しい秘密のままでした。

青空を突き破り、楽園を目指して飛翔していく陽光は
遠ざかっていく程、小さく見えなくなっていくどころか、
更に大きく、際限なく膨れ上がっていく様でした。

      *

花畑の向こうにある街は、
自らの夢の産物を売って他人の夢の産物を買う人達で溢れ、
賑わ
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