煉瓦をみつめていたとき/
草野春心
わたしたちは煉瓦をみつめていた
通りの人がみな風邪のようなものをひき
草色の貌をして 汗をかいているとき
わたしたちは煉瓦をみつめた
話をしながら
煙草をすいながら
コップを洗いながら
ディランをききながら
このうえもない寂しさを
わかちあうことさえできずに
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