眼人間/乾 加津也
せん、でも一度、眼人間が手人間になろうとしたことがあって、手は崇高なセンサーばりの能動的恍惚感をもたらしたものの、あくまで突端性能、理性的には悔悛ばかりが積み上げられ、これ以上の進歩、発展はない模様
眼人間は眼が命、垂直体勢を好んで移動、棲家を離れるときは磁力の移動物体に身を委ねる、道(コース)と呼ばれる動線には大小様々なサークルが点在してこれがラウンドアバウト(実はこれも眼です)、トラッキング・コンセルジュ・サービスです
性的絶頂を効率よく発生させるための技術も広く浸透したから、眼人間の営みは同系色の眼と眼を重ねて互いの夢に迷い込む(この時ばかりは眼を付けて寝るの)、出られなくなると
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