詩/葉leaf
 
のがある。それが詩だ。詩が私の命を狙っている。詩に殺されるとき、私の理論の鎧はどうなってしまうのか。数人が走ってくる足音が聞こえる。異教徒の追っ手が私を見つけた。私はもう逃げられず、詩に殺されるほかない。詩なんて知らなければよかった。私の中に異教徒としての詩が侵入することを許したのが私の最大の失敗だ。いや、成功かもしれぬ。私が正常な論理のみで私を完結させようとしたとき、それは私に対する最大の裏切りだったのだ。異教徒としての詩は、結局は私の中の私に対する誠実さだったのだ。ついに異教徒たちは私を取り囲んだ。私はうろたえて恐怖した。異教徒の一人が銃を取り出し発砲する。詩の弾丸が私を撃ち抜く。私の死体を確認したうえで、異教徒の一人は私の服をすべて奪って、生きていたときの私と同じ服装になる。その異教徒は顔かたちも私と同一である。私は異教徒として別の身体を得た。詩という鋼鉄の正義を原理的に信じるテロ組織のリーダーだ。私は人間も自然も社会もすべてを歌に変えることができる。この牧歌性、生きる喜び、青春と懊悩、癒えない傷、そういう正義を守るために私は手段を選ばない。

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