無人島/オダ カズヒコ
 
を眼下に見下ろせる十分な高さだ。バカバカしい!何の役にも立ちやしない。ぼくはまず足もとを地面から抜くことを試みた。そうだ、ゆっくりとだ。あんまり焦っても碌なことがないことくらい経験済みだ。女の子に引っ叩かれたのも、ちょいとした焦りのせいさ。一本目を上手く抜いた。この調子だ。焦らなくともぼくはまた人間に戻れる。上手くやれるさ!

        ∞

大丈夫?随分うなされていたみたいだけど。女の子がぼくの目を覗き込む。ぼくは自分の腕を確かめた。手のひらの先にはしっかりと5本の指がついていた。ぼくはそいつを握ったり閉じたりした。ここは無人島かい?ぼくは女の子に訊ねた。そうね。あなたとわたし以外
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