白い破片。/梓ゆい
 
開かれた扉と
銀の台に置かれた白い破片。

崩れながらも形を残すそれは
熱い熱いと焼かれていった
愛する父の姿であります。

「お父ちゃん、お帰り・・・・。熱かったねえ・・・・。」

たれそうになる涙と鼻水を押さえ
懸命に声をかけても
白い破片は何も答えません。

(ひび割れ箇所を確かめて、ゆっくりとセメントを流し込む。)

何かを守ろうと・何かを守ろうと
思考が止まります・・・・。

泣こうとしても泣けないのは
「いい加減にしなさい!!」と
愛する父が叱るからなのかも知れません。

手を握っても、握り返さなかったのは
すでに抜け殻だったからなのでしょうか?

ねじを巻き忘れた柱時計は
二日目の夜
埃まみれの針と振り子を
畳の上に落としていました・・・・。





戻る   Point(2)