おーるうぇいず・こーるど/霜天
 
寒がりの猫の丸い背中
繋がった手と手の行方とポケットの中
氷面を渡る
ような
流れの中で目を閉じる


おーるうぇいず・こーるど、の
僕の足跡の
爪先が少しくぼんでいること
君は気付かないだろう
として


足元から世界が削り取られている
僕らだって少しずつ
がりがりという音の中
笑いながら暮らしたりしている
いつだって寂しい冬の海の
波音
が、運んでいくのは
きれいな言葉ばかりで
このあたりには
ありのままが残されるので
繋ぐ手の力を強くしてみたり


とても、とても寒い日
広い砂浜が呼んでいるので

猫の背をなでる手を休めて
爪先にしっかりと、僕はここに立って
とりあえず、君の
足取りを確かめることに集中する


削れ行く世界で
少しだけ手を離す
冷たくなる手のひらで
今を確かめる

おーるうぇいず・こーるど、の
僕らの足跡
少しずつ消えて
いつかは見えない
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